私の夢、タロウの忍耐
スタジオア◯スでの出来事。
写真のタイトル 『プラレールの本を読み、くつろぐパイロット』
そして、パイロットはネクタイを付けず、靴を履いてない。
笑顔ではなく「ん?何?」て顔。
用意されていた二つ目の写真の背景も、私が選んだ次の服も未使用で終わった。
うん、でもこれで十分だよ!
タロウは私の夢を叶えるため、大好きな本を持ち、一人で耐えてくれた。
立派じゃないか。 ほんと、よく頑張ってくれたよ。
他の誰よりも素敵な写真が撮れたよ。念願のアリスで。
タロウに絶望を繰り返し、生きる希望もなく抜け殻な私を見た母は、突然どこかに電話をかけた。
「自閉傾向があって、予約をしても行けるかどうか…」
母はなんと、1時間後に撮影の予約をとった。
放心状態な私。母がタロウを「貨物見に行くよ」と誘い、3人で家を出た。
タロウには期待しない。
タロウには諦める。
そうインプットされた私は無気力ロボット。
タロウに親っぽく振る舞う、偽りのママロボット。
タロウをおんぶして自然な感じでア○スに入ると、奥にあるおもちゃで遊び始めた。
自宅最寄りのア○スには拒絶して何をどうしても入れなかったのに、ここは拒絶しなかった。
“期待しない。期待してはいけない”
自分に言い聞かせた。
私は手早に衣装を選び、母と一緒にチョコやおもちゃで釣りながら着替えさせた。
無理矢理に。タロウは泣いて嫌がった。
ネクタイと靴は無理だった。
“期待しない。期待してはいけない”
私は妥協した。
どういうタイミングか、タロウはプラレールの本を手にしていた。
撮影場所に座ってくれた。
本に夢中になることで、自分の精神を落ち着けたようだ。
タロウは納得して耐えてるんだ!
貴重な時間だ。
カメラマンがマニュアル通りの『子供の笑わせ方』を実行する。
タロウはしらけていた。
「笑顔じゃなくていいですから!!」
早く撮影してくれとばかりに私と母は強く言った。
撮った写真を画面で確認すると、タロウは我が子ながらとてもかっこよく写っていた。
内面的なかっこよさが写ったんだ。
強い信念みたいなものかな?
服装はちょっとラフだけど、3才のタロウの“最高値”が表れた写真だ。
タロウはア○スでの写真撮影がトラウマになっていないようだ。
夜は安眠、翌日も安定している。
今回のコラム、書こうか悩んだ。
私達家族にとって大きな喜びを、他人にちっぽけだと思われたくなかったからだ。
でも、タロウが私の勝手な願いのために、耐えてくれたことを記録に残したかったし、わかってくれる人にはこの感動を伝えたかった。
タロウも自分の状態や状況を理解しつつある。
座右の銘?
電車がよく見える場所にて、タロウが特急と貨物を期待して普通電車を見送っている。
穏やかに楽しむタロウの横で私はゆっくり考え事をしている。
当初の『天使な我が子』の主旨は、タロウのかわいさや秀でていることだった。
つまり、親バカコラムだ。
私はタロウに絶望を繰り返し、普通の希望を持っても絶望するだけだとわかった。
ハードルを低くしないと身が持たない。
これからは、あえて主旨を変えようと思う。
タロウの克服したこと、できるようになったことを書いていこう。
育児に勝敗はないし、将来だってまだ決まっていない。
焦らずにいこう。
詳しいタロウ
11月、幼児心理相談に行った時、タロウは何語文話せるかと聞かれ、「二語文は話せるけど、それ以上は…」と考えてしまった。
あれから4ヶ月、タロウは『詳しく』話せるようになった。
私と一緒に何かに感心した後、私が言ったことを思い出し、真似て言う。
「でっかいフォークリフトのおじちゃん「危ないよー」してたね」
思い出を共有するような話し方だ。
タロウが得意なのは本の解説だ。
「バイキンマンが食べ過ぎでポンポン痛いしてるね」
誰(何)が、どんな表情(行為)をしてるかを、得意げに教えてくれる。
お互いの気持ちを解り合えたらいいな。
詩?
春の日差しと風と木と ほら見て!
クリスマスだよ ほら ほら!
ランプいっぱいちゅいてる いっぱぁい いっぱぁーい!
きらきらしてる
ママ大好き
ママの顔見して ママかわいい
お耳かわいい (見つめ合う)
ママのめめに タロちゃんうちゅってる!
親離れ?
タロウの後追いがなくなってきた。
今日は身支度やお風呂掃除をしていても、遠くで
「ママぁ?」
と、私がいることを確認するために何度か呼んだが、見に来ることはなかった。
今までも後追いをする時期と、しない時期があった。
後追いをするもしないも、その時その時の訳がある。
成長による心理の変化だ。
実家で、母にタロウを預け、私一人で出掛ける時、
「銀行行ってくるね」
「病院いってくるね」
と、タロウに行き先を言う。
タロウは、経験と理解と暗黙の了解で、穏やかに見送ってくれる。
ここまで長くてつらかった。
でも、まだ喜べない。
長いトンネルはまだ抜けていない。